[店舗デザインの工夫] 飲食店でのカウンター演出の方法について[ギムレットには早すぎる!]

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カウンターに佇む男が一人。その男、この日のBARではギムレットが似合う人を演じようとしている。

静かな店内には心地よい音楽と、マスターの所作と配慮。無駄のない行為や空間が好き。そこにはメニューはありません。即興で行われる演劇のようなものかもしれない。

ゆったりとリラックスできる中にも緊張感があって。、時々こういった場所に訪れたくなります。

マスター。ギムレットを。

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オーダーも少しスマートに。好きなカクテルをいくつか覚えておいたほうが良いし、ベースを伝えてお任せでも良いかもしれませんね。あと、サッと帰るのがマナーかな?って思ってます。(最後に写真のお店紹介をさせていただきますね。)

どうも。

大人の所作を身に付けたいと思うキンモトです。今日はインテリアデザインについて、主に飲食店のカウンターに絞ったお話を、BARに限定せずに書いてみようかと思います。カウンターはそのお店の顔であり、お店の中心的な場であると考えています。

具体的な演出方法というよりも、演出する上でどのようなアプローチが出来るのかという、カウンターを考えるための方法みたいな内容になると思います。

カウンターにはドラマがあって、集う全ての人は演者であり、ライブステージである。

と、どこかの誰かが言ったとか言わないとか。

以下のような項目で書き進めてみたいと思います。

・カウンターの歴史、起源について
・回らないお寿司やさんと立ち食いそば屋さんとの違い。
・業種に合わないカウンターの使い方でお店が変わる?
・新たなカウンターのスタイルを生み出す方法。
・写真のお店について

まず、カウンターの歴史と起源について

そもそもバーの起源はアメリカといわれています。名前の由来には諸説あるようですが、1800年代のアメリカ、西部劇の時代。ゴールドラッシュに沸く西部の街では、当時、ウイスキーを飲むのが主流で、樽から直接振る舞うスタイルの酒場が一般的だったようです。店主が目を離した隙に”内緒でコッソリと一杯”というように、西部の荒くれ者達がウイスキーを勝手に樽の酒を飲んでしまうことに困り果て、対策として客と樽の間に横木を通し隔たりを作った。それを”バー”と呼んだというのがひとつ。このバーがカウンターの起源になります。他には昔のアメリカの酒場には、馬をつなぐバーがあったので、そこの「バー」から来たという説や、カウンターの足置き場を”バー”と呼んだというような説もあるようです。

そのバーカウンターの“BAR”という言葉が世界に広がって定着し、現在まで残っているのでしょうね。

日本でのカウンターの起源はどうかと調べますと、やはり寿司屋さんかと思い調べてみました。

にぎりずしは江戸時代の後期に生まれ、それまではお店ではなく屋台が中心で、桶に寿司を入れて売り歩いていたようです。冷蔵庫も氷もない時代なので、煮魚や煮だこを酢飯でというものが主流だったそうです。今のようなカウンターでの寿司というのは戦後、屋台で生ものを扱うことが禁止されたため、店の中に屋台を持ち込んだことからの名残でカウンターが残ったようですね。

BARやお寿司やさんと、立ち食いそば屋さんや牛丼屋さんとの違い。

カウンターを大きく分けると、作業スペースとしてのカウンターと、回転率を上げるためのカウンター(ボックス席ではない)と大きく2つに分けられるように思います。どちらもお客さんには飲食をするスペースではありますが、前者を“対話スタイル型”(演出型)、後者を“ぼっち孤立スタイル型”(野試合型)と命名します。積極的に関係が持てるか持てないか、会話を作れるか作れないか、食べるだけで良いのか?悪いのか?というような分け方ができるように思います。

店舗の業種や形態、作業効率やお客の回転率、お店のスタイル(演出)というように、カウンターの使い方や優先されるべきことが異なります。”対話スタイル型”も”ぼっち孤立スタイル型”も業種によってメリットとデメリットがあって、どちらが良くて悪いのかというようなものでもありません。

例えば、牛丼チェーン店さんはいくつか思い浮かぶかと思うのですが、どのお店もだいたい”コの字型”のカウンター席があります。そこではオーダーを聞いたり、商品の受け渡しや、お金のやり取りなどが主で、調理作業はだいたい別の場所で行っています。BARやお寿司やさんは大抵対面型で仕上げの作業をお客さんの前で行うスペースとなっています。立ち食いそば屋さんの場合は、スペースの確保が困難な場合や完全に回転率を意識したテーブル席やボックス席を作らない(作れない)というような意図もあるように思います。何を重要とするかによって使い方が変わってくると考えたほうがよさそうですね。

このカウンターの業種や形態、作業効率や回転率などの関係で成立している状態をあえて変えるとどうなるだろうか?内装を設計する上でそのようなアプローチもできるのではないか?可能性はないだろうか?と考えてみました。

BARやお寿司屋さんのような作業(仕上げ)を行うカウンタースペースの牛丼屋さんを提案する。

と言われると、どう感じるだろうか?

牛丼屋さんといえば、早い、安い、ウマい、の三拍子と言われます。

ちょっと遅い(丁寧、上品)、ちょっと高い(素材、品質が良い、手間がかかっている、こだわりもある)、でも美味しい牛丼屋さん。

例えばお肉屋さんに隣接させたスペースに店主が趣味で始めた、カウンター席のみ6席の狭いがめちゃくちゃ美味しい、メニューは牛丼のみのお店。一杯1,800円。という設定であるとどうだろうか?

ほんの少しですが可能性を感じませんか?チェーン店の牛丼屋さんのようなカウンターのスタイルでは逆にダメな気がしませんか?

根本をあえて変えることで、新しいスタイルの提案や、お店の特徴や話題をつくることもできるかもしれませんね。その食べ物自体の価値をどこまで高められるかによって、カウンターの意味も使い方も変えられるかもしれない。お店とカウンターのあり方、演出の方法、お客さんとの関係も少し変えることができるかもしれない。牛丼屋さんでお肉の説明されたら。、なんだか鉄板焼き屋さんに近いですね。

業種に合わないカウンターの使い方でお店が変わる?

あえてカウンターの使い方を変えること、これはお店や商品のあり方を変えることにもつながる。

これはある程度前提の条件が揃った場合ではありますが、必ずしもセオリー通りのカウンターを設置しなくても良いのではないかと思います。本当に重要としたい部分について、よりしっかりとこだわりを持って考えていけたらいいですね。前提がない状態で考え始めると、より柔軟になれますし考えもしなかったことに気がつくこと、見えてくることもあるように思います。

そういった話し合いがあった上で、そこから最低限必要なことや守らなくてはいけないことを具体的にしていき、最終的に形にしていくような方法も良いかと思います。

店舗デザインでのカウンター演出について。

どのようにお店や商品を見せるのか、伝えるのか。飲食をするためのカウンターであればまず事足りるが、お店とお客さんとの距離感を意識した場合に、そこにお店の方が居ても不自然にならない、お客さんの近くにいる事が普通なカウンターには可能性があると思います。

距離感について、どれだけお店のファンになってくれる人を増やしていくことができるのか。

味やお店の雰囲気はもちろん大事だと思いますし、大前提として意識しなければならないことです。

付加価値として考えられる、商品へのこだわり少しでも伝えていってほしい。そんな会話も生まれる状況、それはお店のこだわりや店主の人柄のような部分のアピールにもつながって、お客さんとの距離感は縮まるのではないでしょうか?

ただ近すぎてもダメな気もします。遠すぎてもダメな気がします。物理的にも精神的にもね。

どのぐらいの距離感でお客さん一人一人と関係を作っていくのか、そういった部分にまで気を配ってもらいたい。私としては店舗デザインを考える上で気にしたい。

お店とお客さんとで新たなドラマが生まれるような、例えば私がお店のカウンターを設置するようなことを提案する場合には、そのようなことを含めて、いろんな角度からアプローチしていけるように心がけたいですね。

写真のお店情報です。

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この日は、素敵な時間と空間のmonetさんにお邪魔していました。

また、ふらりと伺いますね。

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082-211-1788

広島県広島市中区橋本町7-20 B1F

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広島でgreenpoint design (グリーンポイントデザイン)というデザイン事務所をしています。ブランディングや店舗デザイン、グラフィック、Webデザインと幅広です。カメラマンと2人の小さなデザイン事務所です。デザインや撮影でご協力出来ることがあればよろしくお願いいたします。

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