
2023年8月から3年間、安芸太田町の地域おこし協力隊として活動してきました。
そして2026年7月末、その任期を終えました。
3年前、地域おこし協力隊として安芸太田町にやってきたときには、3年後もこの町で暮らしていることを、どこまで具体的に想像できていたのか分かりません。

仕事として地域に関わり、そこで暮らし、たくさんの人と出会う。
気がつけば「地域おこし協力隊として安芸太田町にいる」という感覚よりも、ここで生活していることの方が、ずっと自然になっていました。

地域おこし協力隊ではなくなった日。
この3年間は、津浪地域を中心に活動してきました。
地域の行事に参加したり、いろいろな人と話をしたり、デザインの仕事をしたり。その中でMOTONO COFFEEという小さなコーヒーの活動も始まりました。
振り返ってみると、「地域おこし」のために何か特別なことをしたというより、この場所で自分たちにできることを考えながら、一つずつ関わってきた3年間だったように思います。
地域おこし協力隊には、3年間という期限があります。
任期中は当たり前のように使っていた「地域おこし協力隊」という肩書きも、7月末でなくなりました。
ただ、不思議と何かが終わったという感覚は、それほどありませんでした。
仕事として地域に関わる時間には一区切りつきましたが、ここでできた人との関係や、日々の暮らしまでなくなるわけではありません。
むしろ肩書きがなくなったここから、どんなふうにこの町と関わっていくのか。
その方が、自分にとっては大切なことのように感じています。

津浪から井仁へ。
協力隊としての任期を終えるのと同じ頃、これからの暮らしについても考えていました。
そして、新しい場所として選んだのが、同じ安芸太田町にある井仁です。
井仁の棚田にある、築84年の古い家。
母屋があり、納屋があり、蔵があり、庭があり、その先には田んぼがあります。
きれいに改修された家でもなければ、すぐに何かを始められる完成された場所でもありません。
草を刈り、家の中を片付け、傷んだところを直す。
電気や水道など、暮らしていくために必要なものも少しずつ整えていく。
今は週に何度か通いながら、この場所で過ごす時間を増やしています。
最初から完成形を決めてしまうのではなく、まずはここで過ごしてみる。
過ごして、気づいて、考えて、必要なところに手を入れて、また過ごす。
そんなふうに時間をかけながら、この家と付き合っていきたいと思っています。

仕事と暮らしを、もう少し近くに。
井仁では、母屋を自分たちの暮らしの場所に。
そして納屋を、MOTONO COFFEEの焙煎所や小さなコーヒーの場所、デザインの仕事場として使っていくことを考えています。
写真を撮る場所もつくりたい。
庭では野菜やハーブを育ててみたいし、来年は初めての米づくりにも挑戦してみたいと思っています。
デザイン、写真、コーヒー、畑、田んぼ、古い家。
こうして並べると、いろいろなことを始めるようにも見えます。
でも、自分たちの中ではそれぞれが別々のものという感覚はあまりありません。
働くことと、暮らすこと。
つくることと、食べること。
人に来てもらうことと、自分たちがこの場所で過ごすこと。
それらを無理に切り分けず、もう少し近いところでやってみたい。
井仁で始めようとしているのは、お店や仕事場だけではなく、そんな暮らしそのものなのだと思います。
この町で、これからも暮らす。
地域おこし協力隊として安芸太田町にやってきて、3年。
その肩書きはなくなりました。
津浪での暮らしにも一区切りをつけ、これからは井仁へと場所を移していきます。
でも、安芸太田町での暮らしは続きます。
地域を大きく変えるようなことはできないかもしれません。
それよりも、自分たちがこの場所で仕事をして、暮らして、草を刈って、野菜を育て、米をつくって、コーヒーを焙煎する。
時々誰かが訪ねてきて、一緒にコーヒーを飲む。
そんな小さなことを続けていく方が、自分たちには合っているように思います。
地域おこし協力隊として過ごした3年間は終わりました。
そして、津浪から井仁へ。
まだ家も、お店も、暮らしも完成していません。
だからこそ、ここからどうなっていくのかを、自分たちも楽しみにしています。
急いで完成させるのではなく、暮らしながら考えて、必要なものを少しずつつくっていく。
協力隊を終えて、ここから。
この町で、これからも暮らしていきます。