デニム生地を使用したパッケージデザインの話し
先日まで悩みに悩んでいました、パン屋のTROUVERさんのシュトーレンパッケージ。
デニム生地のラッピングとタグのデザインとしてご提案させて頂きました。個人的にもかなりしっくりときたデザインでもありますし、このちょっと、いやかなり攻めた案を採用して頂いたTROUVERさんにも感謝しております。きっと好きな感覚が近いのではないかと感じます。12月初旬からクリスマスまでの期間販売予定で、実際には黒と赤のデニム生地になる予定です。
今日はこの案が生まれるまでの経緯を少しご紹介出来ればと思います。
当初のご依頼内容としましてはクリスマス限定商品であるシュトーレンのパッケージをデザインして欲しいとのお話しで、横から引っ張りだせるようなスライド式の箱(スリーブ箱)をと考えておられました。
特別感があり、クリスマス感はあってもなくてもというような印象。またお店のシンプルでモノトーンな印象、ラフな素材感というような部分からお店に寄り添うようなデザイン、常連のお客さんにも喜んで頂けるお店らしい商品パッケージとなるようにデザイン出来ればと考えていきました。
箱ものを作る場合どのように商品を収めるかという余白の部分への意識や箱として陳列した状態から購入、箱を開けたときの工夫(驚きや変化、お店らしさ)や何よりその商品が良く見えること(商品の付加価値の部分)、満足感を演出出来るようなものというような段階的な見せ方や伝え方の工夫が必要になってきます。箱を入れるショップバッグのサイズ等も意識し、内側も外側も、制作数が多くなれば保管の場所のことなど同時並行で考えなくてはならないことが色々とあるんですよね。
実際にはオリジナルの箱を制作する案と既製品の箱も視野に入れつつ帯や包装紙のデザインも含めて検討していました。お店にショップカードがまだないとこのとで商品のタグのようなカタチでショップカードも兼ねられたらどうか?未開封のシールのようなものも使い勝手が良いかもしれないなど、せっかく制作されるものなので余っても他で使用出来るものとなるよう無駄の出ないような制作物であるのが当たり前ですが良いかと考えました。
その点で言えば箱を作ることは特定の商品に特化した使用であれば良いのですが柔軟性がなく融通がきかない、例えばいろんなカタチや大きさに合うように大きな箱を選ぶと商品によってはフィット感が失われ無駄な部分が大きくなります。その商品に合わせたパッケージとはなかなかなりません。逆にその商品に特化したパッケージとなると他の商品でも使用したい場合には使えない、入らないというようなことも可能性として出てきます。既製品の箱にも同じことが言えて丁度良いサイズがあれば良いのですが、色々と使い勝手の良いサイズなのでしょうが指定のサイズに近いものを探すようなことが多いです。
ここだけの話しシュトーレンが箱のカタチをしていれば、包装紙のデザインでパッケージになるんじゃないか?
四角いシュトーレンというような考えも浮かびました。カタチに意味があるシュトーレンでは難しいですよね。
今回のお話しでは特定の商品であり、その商品の大きさに合わせれば良いのですが(商品のシュトーレンに多少個体差があるのである程度余裕も作りつつ)、1月間の期間限定商品であり、オリジナルで箱を作ることへのご負担を考えると継続的に使用するものでもないので少し躊躇してしまうような状況でした。それでもどうしても必要なもの、そこまでして作る価値のあるもの、デザインの可能性という部分で一緒に悩みながら検討した案となります。
制作数も少なくパッケージ自体の制作単価が高く、それでも様々な面から金額を抑えられないかと検討してみました。パッケージを箱としてではなく紙袋の形状からパッケージ同等の強度を作るというような三角形のアプローチ、機械による加工や制作が可能なもの、手作業とならないようなものであればどうか?というようなアプローチを行いました。
トルヴェさんの黒いパッケージを考えてる。スタードリームのチタンで作ろうとしてる。黒と赤の紙は高いとあれほど。、 pic.twitter.com/SQxuVCGJJX
— キンモトジュン (@kinmotojun) 2018年10月25日
実際には黒い用紙(スタードリーム チタン)の三角パッケージとタグの組み合わせを考えてましたが、なかなか調整が上手くいかず、簡易的なラッピングというようなご提案をすることとなりました。箱を作ることへの負担が大きいと早い段階から感じていたので、そういった意見もお伝えしつつ箱を超える可能性を当初から考えていきました。箱による特別感を超える何かしらをデザイン出来ればベストで、そこから生まれた案ではあるのですが、箱を最終的な形状まで落とし込み、制作費の見積を確認し調整ができなかったこと、良いものだとご提案出来たパッケージがあり、それを超えようとしたからこそこの案に行き着いたように感じます。
ラッピングの方向で進み始めてからは意外と早く、ワックスペーパーの黒や赤ラッピングしタグを付ける案をベースに、紙だと普通だよね。、布だとどうかな?クリスマスの靴下みたいな、プレゼント感は出せるかもしれない。柔らかい布より張りのある高さが出るような布だと良いな。、布のラッピングも普通っちゃ普通だよなぁ。
私「ねぇ。どう思う?」
カメラマン「デニム生地とかどうかね??」
私「デニムか。、デニムねぇ。えっ!めっちゃ面白いね。今から生地を買いに行こう!!!」
とまぁカメラマンの案です。(笑)
3種のデニム生地で試作をしてみてもやはり面白く感じ、早速ご提案をしてみました。デニム生地で包むというちょっと珍しいラッピング、シュトーレンのカタチの意味(幼子イエスを産着で包んでいるように見える)からジーパン履いているような、オーバーオール着てるようなイメージにもなり、強いインパクトは作れるように感じました。
ただちょっと抵抗を感じる方と面白いと感じる方とが居そうな案ではあるのでどうかなぁとは思いましたが、ご提案を気に入っていただけて、販売開始時期に間に合って本当に良かったとホッとしております。
購入されるお客様の反応も楽しみですね。
そうそう、シュトーレンではなくシュトレンが正解らしいです。