Works / Branding design
PLATFORM TSUNAMI / ぷらっとホームつなみのブランディングデザインを担当しております。
このプロジェクトは広島県は山県郡安芸太田町の地域おこし協力隊として派遣されております、津浪振興会が運営する地域交流施設(小さな道の駅のような施設)のブランディングや情報発信、お店の通常業務等のサポートとしての活動やプロジェクトです。津浪地域全体の価値や魅⼒向上から、棚田などの地域環境の保全にもつながるような活動も⾏なっております。
まず初めに、配属後に取り組んだこととしましてはお店のこれまでのロゴ(筆文字のロゴタイプ)とは異なる地域を象徴できるようなロゴデザイン(シンボルマーク)を検討しました。運営を行う振興会へ提案後、お店には試験的にプライスカードやPOPなどに取り入れつつ、お店のイメー ジも少しずつ変化を加えていくというようなアプローチを行いました。
具体的なロゴの使用イメージや役割として、お店のどのような箇所に使用すると効果的なのかというような事も含め、スタッフの皆さんとの 情報共有の意味も込めて実施をしました。
ロゴについては大きく3つのテーマを設定し、デザインを検討しました。
1.この場所(お店)の成り立ちを表現するようなデザインであること
2.お客様と積極的にコミュニケーションの取れる可能性があるデザインであること
3.「ぷらっとホームつなみ」として津浪地域をさらに盛り上げていく、津浪のこれからを 背負っていくというような印象となるデザインであること
「ぷらっとホームつなみ」を表現するという意味でも旧津浪駅跡地からお店の立ち上げの流れ であったり、駅に関係するようなデザインであることは他の道の駅などの施設や飲食店等にもあまりなく、津浪だけの明確な特徴となると考えました。
そのような他の地域と津浪との差異化や、このお店の良さはどのような部分なのかを認識し、それをお客様に対してどのような方法でアピールをすべきか、検討をしていく必要があると考えました。
「ぷらっとホームつなみ」という名称はお店の成り立ちを象徴する意味や、旧可部線の津 浪駅を継承するような地域の記憶であり、地域の方との接点や関わり方というような意味も含まれており、とても良いと感じております。今後もこの名称を継続することを前提として、より多くの方々との接点やコミュニケーションの取りやすいもの、口に出して呼び やすい表現として「ぷらっと」を強調するようなものとしたい。覚えやすく印象に残り、 単純なカタチであるマークを検討してみました。
残すべきものと変化が必要な部分とを把握し、その範囲内で調整するようなデザインにも可能性があるように感じ、検討しました。
津浪ブランドを象徴するようなシンボルマークとして、地域に「ぷらっと気軽に訪れてもらいたい」というお店のコンセプトをより強調するような、これまでとは全く新しい印象を作るようなデザインを検討してみました。
誰もが分かりやすい明確な変化やリニューア ルとして印象付けられるような、これまでの取り組みにはない視点から、新たなお客様の層をより意識し、そこへ向けたアピールも目的としております。
これまでの平仮名とカタカナ表記の名称から、アルファベット表記へと明確な変化を加える事でお店の印象にも柔軟性をつりたい。組織としては「ぷらっとホームつなみ」として。お店の全体イメージとしては「Platform Tsunami」というような、用途によって名称の使い分けをしていくような変化をつくれたらと考えております。
名称の意味には「アットホーム」といった要素も含まれてはいますが、今後はより「基盤」という意味合いの、 Platform(プラットフォーム)と表現することの方が、お店の成り立ちや歴史、津浪地域から安芸太田町の各地域へというような経由地(ゆくゆくは目的地)として、今後も駅のように人をつなぐ場所としてここにあり続けるという意味も分かりやすく含まれ、津浪駅というストーリーもよりアピールできるように検討しました。
地域全体としての基盤、今後の津浪地域を支えるというような意味合いにも寄り添うようなお店のあり方やカタチにもなりますので、アルファベット表記は「Platform」とした方が良いのではないかと考えております。正式名称は今後も「ぷらっとホームつなみ」 であり、読み方としてもこれまで通り「プラットホーム」となるかと思います。看板などのデザインのみ部分的に取り入れるバリエーションとして、アルファベット表記を今後のお店のイメージとして変えていけたらと提案し、採用されました。
現状、建物や看板の印象からは飲食店としての印象は強く感じられるものの、その他の野菜や商品販売というような印象や、道の駅というような複合施設の印象も弱いようにも感じており、その辺りも多少問題もあるとも感じております。
当初の目的の「地域にとって必要な施設」としての在り方から、規模や業務内容も徐々に変化をしています。 今後は安芸太田町への観光等を目的とする地域外の方へのアピールもより意識したお店へと変化し、幅広い年齢層の方々が「ぷらっと」気軽に地域を訪れていただけるような状況となるような、津浪地域として新しいことも積極的に取り入れていく柔軟な地域としての印象を強く感じられるような、アプローチやデザインを検討することのメリットは大きいように感じております。
現在、安芸太田町で力を入れております観光や様々な地域でのアクティビティ(スポーツ 等)にも寄り添うような、地域を訪れる方の様々な活動スタイルにも抵抗なく、柔軟に関われる地域となることには可能性を感じます。例えばそういった方々が津浪地域や「ぷらっとホームつなみ」を訪れることが当たり前となるような状況を目指すことに繋げたいと考えております。経由地や目的地として、津浪地域は今後、より幅広いお客様の層を意識した、柔軟で明確なプロモーションを行う必要があると感じております。
これまでお店のご利用や注目すらしていなかった方々に対して、少しでも魅力的なご提案やサービスを行っていくというアプローチも今後の可能性の1つとして重要であると考 えております。継続的にお店をご利用されている方々へのより良いサービスの提供は今後も大切にしつつ、全くアピールをすることができていなかった方々に対しても、地域としてどのように関わることが自然なのかを考えることが今後の「ぷらっとホームつなみ」や 津浪地域にとっても必要なことのようにも感じられます。
これまではどこか和風に寄った施設印象にも感じられ、例えばロードバイク(自転車)やツーリ ング(バイク)、ランニングやアウトドア(キャンプや登山)などを行われる方々には明確に一般とは異なるこだわりや、個々人のスタイルのようなものが存在します。そういった活動を好む20代から40代の比較的若い年齢層のグループや家族も対象とし、より好まれるような地域となることを想像すること。一般の方ももちろん意識つつ、出来るだけそういった方々にも寄り添い、無理なく馴染むことができるような。安芸太田町に来る場合 はお店に立ち寄ることを必ず予定に取り入れていただけるような状況を目指すことを目的としております。新たな試みとして積極的にそういった方々ともコミュニケーションが取れる状況には売り上げの向上というような面でも可能性を感じております。
「ぷらっとホームつなみ」の現状としましては上記のようなこだわりをお持ちの方々の個 性やスタイルに合っているかと言われますと、お店の印象は長く固定されたイメージとなってしまっており、少し柔軟性にも欠けるように感じられます。
今後は少し洋風な要素も加えつつ、津浪地域全体としてのイメージも含めて和洋のバランスを調整していくような、印象を平均的にしていくようなことにも可能性を感じます。お店としての主張はあえて作らず、全体のイメージには人によって様々な捉え方があるような状態とすることで興味や期待感を増すような、より幅広い方々にもまずは抵抗なく寄り添えるような地域であり、お店の印象とすることには可能性を感じております。
シンボルマークについての具体的なデザインとしましては平仮名の「ぷらっと」の部分のみの文字で制作するマークとして、出来るだけシンプルであることを前提としつつ、これまでの手作り感(筆文字のロゴ)や親しみというような印象も感じられるようなデザインにできればと検討してみました。
具体的には津浪の集落は各部落が丸山という山を中心に反時計回りに点在してあり、その集合が津浪地域として1 つにまとまっているため、そのような表現をする事で、津浪としての団結や結束というような印象となるように、「ぷらっと」の平仮名のカタチでそれを表現 してみました。同様にお店としての成り立ちについても、地域の結束や協力関係は重要な キーワードとして感じており、そういった要素が含まれるデザインを検討してみました。
デザインのテイストとしましては、洗練された印象も感じられつつ少しカジュアルに、年代を問わず誰もが「ぷらっと」気軽にお食事やお買い物を楽しんでいただけるようにという想いで、津浪地域内外の多くの方々とも関わりをつくりながら、津浪地域にまずは気軽に「ぷ らっと」訪れて欲しいという意味を込めました。またマークは駅を連想できるような使用方法ができるもの。買い物袋に商品が沢山詰め込まれたような印象にもなるように、近隣にお住まいの方には日常的に継続してお店に訪れて欲しいという願いも込めました。
・手作りの印象を多少残すような、親しみやすさも感じられる印象をベースとして
・洗練された印象も合わせて感じられるようなテイストとして
・出来るだけシンプルであり、どのような用途にも問題なく使用でき、共通の印象として統一できるようなものとして
・「ぷらっとホームつなみ」の成り立ちを表現するカタチ
・地域の協力、団結力、まとまり、集合体というような津浪地域が1つになったことで生まれたカタチやその状態を表現するようなもの
・津浪のこれまで歩みや歴史として旧津浪駅としての駅や列車を連想もの、この場所にあるストーリーを特徴として活かせるもの
・これまでとの印象の違いや変化が明確で分かりやすいもの
・和風の印象から多少洋風な印象も感じられるような中間的なもの
・対象とするお客様の層に積極的なアプローチできるもの
・意外性、可能性を感じられるようなもの(ある程度洗練された印象からの親しみや人情を感じられるギャップがあるお店。接客や会話が魅力。強い記憶として残るような)
シンボルマークの採用が決まり、次に取り組んだプロジェクトとしましてはショップカードの制作です。配属早々に取り組み始めたSNS(Instagram)を利用した野菜の入荷情報や地域の情報発信を行なっており、そのアカウントを共有するためのツールとして切符型のショップカードを制作しました。
上記でも記載しています通り、元々は駅であった跡地を利用した地域交流施設であることから、駅に関係する要素、配布また記念にもなるツールとして切符のモチーフを選択し、お店のファンの方を増やすためのショップカードの意味を含ませたツールとしました。
4箇所の看板のリニューアルを行いました。
当たり前の意見として、ローマ字表記で読めない、分かりにくい、目立たないというような看板をあえて作るという提案を行い、制作が完了しております。
想定通りの意見をスタッフからはもらいましたが、そもそも名称を伝えることがここでの看板の目的ではなく、目印としての役割でこのマークを事前に覚えてもらえていたら看板としては成立する。
立地的にも通過しやすいカーブ上にありますので、事前に調べてこられた方が最低限迷わないような目印として、さらには逆に興味を引くような、田舎でありがちな派手にして目立たせようという視点をそもそもやめることで目立つ、違和感を感じるというようなアプローチを行いました。
このマークのみを覚えてもらうこと、長年続けてきていることもあり、地域の方には周知されている、看板がなくても問題ないという前提として、初めて地域を訪れ、ぷらっとのことを知る方に対してフラットな感情で来店してもらいたい。
その上での親しみを感じるような接客というギャップを作ることで、印象に残るような時間をご提供できればと検討しました。
まだ一部派手な看板や、手作りのものも残っているのですがその辺りも徐々に改善や撤去を行なっていけたらと提案しております。
私のこれまでと、私が目指したことについて
元々は移住目的で安芸太田町に興味を感じ、その検討過程で協力隊の制度を知りました。
「人との関係をしっかり築ける地域に移住したい」と思い、協力隊へ応募、生活も含め、より難しい場所にあえて飛び込み、挑戦もしたかった。というような経緯で今、この場所にいます。
「ただ新しいことをやる」のではなく、地域の良さを理解し活かす視点で活動しています。
学生時代はずっと県外にいたのですが、いずれは地元の広島に戻り、広島のために何か自分の力を活かすようなことができればと考えていました。そして広島に戻るタイミングでデザイン事務所を立ち上げました。
この事業については地元の広島県の魅力や価値を少しでも高められるようにという思いもあり、現在も津浪で継続して事業を行なっております。
今は、安芸太田町の価値を高めることが、まわりまわって広島全体の価値向上にもつながるのではないか、
そんな意識を持ちながら日々の活動や業務に取り組んでいます。
地域おこし協力隊として目指していること
配属されております津浪地域の価値の向上を目指しています。与えられたミッションはズバリ、売上アップと地域の価値向上!だと考えております。
私は津浪地域の振興会に配属されていています。主にその地域が運営する都市農村交流施設「ぷらっとホームつなみ」という旧津浪駅跡地を利用した施設を軸とした、地域振興活動を行ってきました。
地域振興というと何か一過性のイベント事を行うというような発想になりがちかもしれませんが、地域そのものの日常の価値を高める仕組みづくりに取り組んでいます。
活動を行なっていく上で、こちらの3つのルールを設定しています。
1つ目は地域の背景と成り立ちを理解すること
2つ目は地域の理想や課題を把握し、意味のある必要な変化を提案すること
3つ目はこの地域にしかない良さを見つけ、分かりやすいカタチにして伝えること
ぷらっとを「ただの立ち寄られる場所」ではなく「目的を持って来たくなる場所」へ。
さらには安芸太田町の他の地域へ繋ぐ「経由地」としての役割も意識しています。
地域振興に対する私の考え方
私が考える「地域振興」とは、津浪地域の象徴とも言える「ぷらっとホームつなみ」の価値を、これまで以上に高めていくことです。
お店の魅力や存在感が高まれば、来訪者も増えます。その結果、安芸太田町の中での津浪地域の役割がより大きくなり、地域全体の価値向上にもつながると考えています。さらにその先には、関係人口の増加、移住や定住者の増加といった好循環が期待できます。
地域に関わる人が増えれば、地域活動の担い手=プレイヤーも増え、活動の継続や棚田などの自然環境の保全にもつながっていきます。
私は、そうした好循環を生み出すための「仕組みづくり」を目指しています。
現在取り組んでいることとして
現在は、地域やお店の魅力を高めるブランディング活動を中心に行いながら、地域活動にも積極的に参加し、自分自身が地域の価値を深く理解することを大切にしています。
とくに意識しているのは、「ぷらっとホームつなみとは何か?」を、初めての方にもわかりやすく伝えること。以前は通り過ぎられていた場所を、「ちょっと寄ってみたい」と思ってもらえるように、情報発信や場所づくりを工夫しています。
誰に届けるかを明確にする
すべての人に届くようにと考えると、どうしてもメッセージがぼやけてしまいます。
だからこそ「誰に来てほしいか」をあえて絞り、その方々にピンポイントで届くように発信することで、最初の来店へとつなげることを意識しています。そうして一度訪れていただいた方が、また来たくなる、地域に興味を持ってくれる。
その積み重ねが、結果的に関係人口の増加につながると考えています。
もちろん、幅広いお客様への対応も意識しながら、届け方や伝え方を柔軟に工夫しています。
ぷらっとホームつなみを「経由地」に!
私が描いているもう一つのビジョンは、「ぷらっとホームつなみ」が目的地ではなく、地域をめぐるための出発点・経由地になることです。
この場所は、もともと駅だったという背景があります。
それを強みに、「旅のはじまりの場所」としてのストーリー性を再構築し、「安芸太田町に来たら、まずはここに立ち寄る」というような導線を作りたいと考えています。「ぷらっと」で地域の情報を得て、そこから町内のさまざまなスポットへ出かけてもらう。
津浪だけでなく他地域とも連携することで、町全体の魅力の広がりを意識した活動を進めています。
津浪の奥へと誘う、もう一歩先の仕掛け
さらに、津浪地域のもっと奥へと足を運んでもらえるように、新たな地域の魅力づくりにも挑戦しています。
「ぷらっとホームつなみ」を起点に、津浪地域の内外をつなぐ意味のある変化を生み出していけたら——。
そんな思いで、日々の活動に取り組んでいます。
© greenpoint design
広島の安芸太田町の山の中にある
デザイン事務所グリーンポイントデザイン
Add1583, Tsunami, Yamagata Gun Akiota Cho, Hiroshima Ken, 731-3502, Japan
Phone: private
Mail: info@green-po.com